【ルックバック】考察! ルックバックの意味、ドントルックバックインアンガーって?

  • 2025年1月27日
  • 2025年1月27日
  • 映画
映画『ルックバック』
タイトルやラストシーンの意味を考察
映画『ルックバック』は、藤本タツキ氏が2021年に少年ジャンプ+で公開した長編読み切り漫画が原作の青春作品です。

2024年6月に劇場公開され、現在Amazonprimeでも独占配信されている映画『ルックバック』は、何らかの創作活動に打ち込んだ経験のある方には強く刺さる作品となっている一方で、クリエイティブな道をあまり通ってこなかった方にはイマイチ魅力が伝わり切らず、評価が大きく分かれた作品です。
そこで、本記事では映画『ルックバック』のなにがすごいか、あまり分からなかった方向けに「ルックバック」というタイトルやラストシーンの意味、「意味わからん」と言われた理由などを詳しく解説します。
・ルックバックに込められた意味
・藤本タツキ氏の代表作
・ドントルックバックインアンガーの意味
・京アニとの関係
・ルックバックは実話なのか
・ラストシーンの意味
・「意味わからん」と言われる理由
・評価が二極化した理由 など
劇場アニメ「ルックバック」

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ルックバックあらすじ

学年新聞で連載している4コマ漫画をクラスメイトに絶賛されていた小学4年の藤野。
自作の漫画に絶対の自信を持っていたものの、ある日不登校の京本が描いた4コマ漫画を見て、実力差の愕然とする。
藤野はその悔しさから画力を上げようと絵を描き続けたが、京本には敵わず漫画を描かなくなるのだった。
しかし、担任に卒業証書を京本に届けるよう頼まれた藤野。
嫌々ながらも京本の家に行くと廊下には山積みになったスケッチブック。
藤野はなぜかその場で4コマ漫画を描き、しかもその紙が不本意にもドアの隙間から京本の部屋へと入ってしまう。逃げるように家を飛び出した藤野だったが、追いかけてきた京本に「ずっとファンだった」と告げられ……。
『ルックバック』は、漫画を描くことに夢中な2人の少女の物語です。

ルックバックの作者・藤本タツキ氏

藤本タツキ氏の代表作には『ファイアパンチ』や『チェンソーマン』『さよなら絵梨』などがあります。
中学時代には、脳内で雑誌を作り7本の漫画を同時連載。
プロになってからも、新人時代はかわらず脳内で5本の漫画を連載していたというから驚きです。
『涼宮ハルヒの憂鬱』や『氷菓』などの京アニ作品、ピクサー作品、ジブリ作品などを繰り返し鑑賞しているとのこと。

【考察】ルックバックに込められた意味

ルックバックは、直訳すると「後ろを見る」
作中では広い意味で、背中を見る、バック(背景)を見る、過去を見る、などの意味を持たせていたように思います。
背中を見る
藤野と京本は、互いに憧れを抱き相手の背中を見ていました。
藤野は、自分がいくら努力しても追いつけない京本の背中を。
京本は、自分を部屋の外に連れ出してくれた藤野の背中を。
きっとプライドの高い藤野は、一緒に漫画を描くようになってからも京本の先を行く人でありたかったはず。
一方で、引きこもり時代から「藤野先生」に憧れていた京本にとって藤野は道しるべだったはず。
そして作中では、漫画を描く藤野の背中が何度も何度も映し出されます。

バック(背景)を見る
「もっと絵うまくなりたい」と美大に行く京本に、強がった態度を取った藤野。
人よりやや強めの自尊心から来る態度であることは言わずもがなですが、だからと言ってこれまで藤野が京本を見てこなかったなんてことはなく。
「藤野キョウ」として、13歳~17歳までに7本の読み切り漫画を連載していた頃、藤野は毎日京本が描く「背景」を見続けていました。
藤野の性格なら、少しでも気に入らなければ文句の一つや二つ言ってそうですが、すべてを京本に任せています。
これは、京本の描く背景が常に認めざるを得ない出来栄えだったからでしょう。

過去を見る
不審者の侵入により犠牲となった京本。
コンビ解消後、ほかのアシスタントの背景に満足できないながらもなんとか漫画家として連載を続けていた藤野は、京本の死を知り「外の世界に連れ出した」過去の自分の行いに責任を感じることに。
激しく落ち込む藤本ですが、京本の部屋で彼女が『シャークキック』の同じ巻数を何巻も買いアンケートを出してくれていたことを知り、はじめて会った日に頼まれて書いたサイン入りの半纏を見つけます。
あの日、黙って玄関に卒業証書を置いていけば京本は今も生きていたかもしれない。
「自分が漫画を描いていなければ」とまで考えたかもしれない。
でも、いくら後悔しても過去は絶対に変えられない。
コンビを解消しても藤野キョウの名前でデビューしたのは、美大を卒業した京本とまた一緒に漫画を描く日を待っていたからかもしれない。
そんな気持ちを抱えたまま、京本がいなくなった世界で漫画を描くのはひどく苦しいはずですが、藤野はそれでも描き続ける道を選びます。

ドントルックバックインアンガーの意味

Don’t look back in anger=怒りを抱いて過去を振り返らないで
1995年にOasisが発売した曲のタイトルが隠されていた
ルックバック1コマ目
ルックバック最終コマ

よく見ると1コマ目には「Don’t」、最終コマには「In Anger」の文字があり、タイトルとつなげると「Don’t look back in anger」となります。

過去の怒りにとらわれず、前向きに生きようというメッセージが込められた曲のタイトルをこっそり隠すこのセンス!
余計な情報を限界ギリギリまで削ぎ落して作り上げられた作品で、ものすごい仕掛けだと思います!

【考察】ルックバックと京アニ

京本が犠牲となった襲撃事件は、京都アニメーションの放火事件を彷彿させるとのことで、何度か修正が加えられています。
京本を襲った犯人が「俺の絵をパクった」と非常に情緒不安定な状態で侵入し学生を襲ったことから、精神疾患を抱える患者への誤解を招く可能性を懸念し、修正されました。
詳しい解説は省きますが、当初幻聴が聞こえ会話が成立しなかった状態から、誰でも良かったと一応判断力はある状態での犯行となっています。

【考察】ルックバックは実話?

ルックバックは実話ではないものの、作者の自伝的作品になっているようです。
作中では、藤本先生を連想させる小ネタがたくさん描かれています。
たとえば、藤野の連載している漫画『シャークキック』の表紙は、藤本先生が連載している『チェンソーマン』とそっくりです。
藤野と京本で「藤本」。
シャークキック11巻でアニメ化決定。
など、藤本先生が浮かぶ展開が多々あります。
ぱんだ
藤本先生はインタビューで、自身の過去を振り返って「消化できなかったもの」を描きたかったって言ってたよ。
しかし、やはり実話なの?という疑問の多くは、前述した襲撃事件が京アニの放火事件と被ってしまうことが影響しているでしょう。
公式のコメントがない以上は推察でしかありませんが、あの事件を受けて感じた思いが少しも入っていないということはないように思います。
とはいえ事件にかかわる部分はあくまでほんの一部であり、そこに関して実話とは言えないでしょう。

【考察】ルックバックラストの意味

ラストで描かれる【京本が死なない世界】が混乱を招く
藤野が小学生時代に描いた4コマ漫画を京本の部屋の前で破ったあとに描かれる【京本が死なない世界】はパラレルワールドです。
卒業式の日に二人が出会わない世界では、美大襲撃の日、藤野が犯人に飛び蹴りを喰らわせ京本を助けます。
藤野がなぜ飛び蹴りできたかというと、空手を習っていたから。
序盤で、挫折から漫画を描かなくなった藤野は姉の勧めで空手道場に通い始めています。
京本と出会わない世界では、きっと藤野は漫画に戻らないかわりに空手を続けていたのでしょう。
無事に助かった京本は、颯爽とあらわれ犯人を撃退した藤野の背中にツルハシが刺さるというオチの4コマ漫画を描き上げると、その紙はドアの隙間から廊下へ。
ここで現実世界の藤野が、パラレルワールドで書かれた4コマ漫画を見るというファンタジーが起こるせいで、混乱する視聴者がいたのではないかと思います。
これまで非常に現実的な展開を続けていた作品だからこそ、終盤に突然ファンタジー展開となり「どういうこと?」「意味わからん」となる方がいたのかもしれません。

ルックバックが「意味わからん」と言われる理由

情報量が必要最低限で、一読では分かりにくい部分がある

文章による説明、セリフ、登場人物などの情報が非常に少ないのが藤本先生の作風でもあるため、一度読んだだけ完全に理解することはかなり難しいと思います。

また、「Don’t look back in anger」のように相当細かい部分まで見ないと気付けない仕掛けもあるので、何周かすることをおすすめします!

ねこ
絵だけで物語を作るって、めちゃくちゃ天才よね!

ルックバックは評価が二極化

解釈を読み手に委ねる系の作品を好きか嫌いかで、評価は大きくわかれる
『ルックバック』は作中で明確な正解が出てきません。
京本が死んだのは自分のせいだと考えた藤野が、最終的にどう思ってまた漫画を描き出すのか。
彼女の気持ちは一切語られず、その背中だけが映し出されます。
結末をハッキリさせたい、スッキリした気分で終わりたいという方には合わないかもしれません。
また、絵を描くことに全力を注ぐ少女たちを描いた作品のため、共感できるような経験のない方は「なにがいいのかわからない」といった状態になるようです。

ルックバックのなにがすごいのか

わずか58分という短い時間に、必要最低限の情報量で、ほぼ藤野と京本の2人で展開する『ルックバック』。

確かに万人受けする作品ではないかもしれません。
漫画を描く、寝る間も惜しんで何かを作り上げる、それで生活していく。
そんな方にはぶっ刺さる作品のようですが、夢中になる分野が違う場合は「???」となります。

評価が大きく分かれる作品であることは間違いありませんが、何かしら思うことは必ずあります!
気になる方はぜひ、繰り返し視聴してみてください。

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